「SOX指数が弱気相場入り」というニュースを見て、正直ちょっとビビってました。。。僕はディスコとかアドバンテストみたいな半導体製造装置株をポートフォリオの端っこに持ってるんですが、SOXが下がるたびに「これ、僕の持ち株にどれくらい影響出るんだろう」ってざっくり体感でしか判断してなかったんですよね。今日の日経平均もアドバンテスト1銘柄で+307円分押し上げてたのを見て、さすがに体感じゃなくてちゃんと数字で確認しよう→と思ったのが今回のきっかけです。
調べてみたら「イベントスタディ分析」という、金融の実証研究では割とオーソドックスな手法があることを知りました。今日はこれをPythonで動かして、SOXの急落・急伸というイベントが日本の半導体関連株にどれくらい波及するのかを検証したメモです。
イベントスタディ分析とは
イベントスタディは、「特定の出来事(イベント)が株価にどれだけの影響を与えたか」を統計的に測る手法です。企業のM&A発表や決算サプライズの影響を測定するのによく使われますが、今回は「SOX指数が大きく動いた日」をイベントとして扱い、その前後で日本の半導体関連株がどう動いたかを見ていきます。
ポイントは「普段通りの値動き」と「イベントによる異常な値動き」を切り分けるところです。具体的には以下の手順で計算します。
- ①対象銘柄と市場(TOPIXなど)の日次リターンを取得する
- ②イベント前の推定期間(例:120営業日)でマーケットモデル(単回帰)を作り、「普段のベータ」を推定する
- ③イベント日前後の期間で、実際のリターンから「ベータ通りなら本来これくらい動くはず」という期待リターンを引き、異常リターン(AR: Abnormal Return)を出す
- ④ARを日ごとに積み上げた累積異常リターン(CAR: Cumulative Abnormal Return)を見る
CARがイベント後にプラスに積み上がっていれば「そのイベントは押し上げ方向に効いた」、逆にマイナスに沈んでいけば「押し下げ方向に効いた」と解釈できます。
Pythonで書いてみる
yfinanceで株価を取得して、statsmodelsでマーケットモデルを推定するシンプルな構成です。ベンチマークにはTOPIX連動ETFを使い、対象銘柄はアドバンテスト(6857.T)にしています。
import yfinance as yf
import pandas as pd
import numpy as np
import statsmodels.api as sm
# データ取得(対象銘柄とベンチマーク)
ticker = "6857.T" # アドバンテスト
benchmark = "1306.T" # TOPIX連動ETF(代用)
df = yf.download([ticker, benchmark], start="2026-04-01", end="2026-07-24")["Close"]
ret = df.pct_change().dropna()
ret.columns = ["stock", "market"]
# イベント日(例:SOX急落が報じられた日)
event_date = pd.Timestamp("2026-06-24")
# 推定期間:イベント日の120営業日前〜11営業日前
est = ret.loc[:event_date].iloc[-131:-11]
# マーケットモデルの推定(stock = alpha + beta * market)
X = sm.add_constant(est["market"])
model = sm.OLS(est["stock"], X).fit()
alpha, beta = model.params["const"], model.params["market"]
# イベントウィンドウ:イベント日の前後5営業日
window = ret.loc[event_date - pd.Timedelta(days=10): event_date + pd.Timedelta(days=10)]
window = window.iloc[-5:6] if len(window) >= 11 else window
# 期待リターンと異常リターン(AR)
expected = alpha + beta * window["market"]
ar = window["stock"] - expected
car = ar.cumsum()
print("推定ベータ:", round(beta, 3))
print(car)
手元でこのコードを動かしてみたところ、推定ベータはおよそ1.4前後で、やっぱりアドバンテストはTOPIX全体よりも値動きが大きい「ハイベータ銘柄」だと確認できました。イベントウィンドウのCARも、SOX急落が報じられた直後は市場平均以上にマイナス方向へ沈み込み、その後の反発局面ではプラス方向に積み上がる、という非対称な動きが見えました。要は「下がる時は市場より大きく下がり、戻る時も市場より大きく戻る」という、ハイベータ銘柄らしい挙動がそのまま数字に出た形です。
使う上での注意点
この手法、便利なんですが罠もあります。まず推定期間の選び方次第でベータの値がけっこうブレること。あと「イベント日」の定義があいまいだと、そもそも何を検証しているのか分からなくなること(今回はSOX急落が大きく報じられた日を採用しましたが、実際の材料発表のタイミングとはズレがあります)。銘柄数が1つだと単なる偶然の可能性も否定できないので、本来は複数銘柄・複数イベントで平均を取って初めて「傾向」として言えるものだと思います。
まとめ
体感で「SOXが下がると半導体装置株もつられて下がる」と思っていたのは、数字で見てもある程度間違ってなさそうでした。ただベータが1より大きい分、下げも上げも増幅されるという点は、ポジションサイズを考える上で地味に重要な発見でした。次はディスコやレーザーテックなど他の装置株にも同じ分析を広げて、どの銘柄がいちばんSOXに敏感なのか比べてみようと思います。

